第718話:昨日の朝の話

ヴァカンスボーテ

札幌のホテル群から新千歳空港まで、
朝限定の空港直行バスが走っている。

今回の宿泊先、ロイトン札幌が始発バス停で、
札幌市内のホテルやターミナルを経由し空港へ向かう。

朝8:00ジャスト空席だけの車内に乗り込み、
ヘッドホンを耳に突っ込んでYoutubeアプリを開く。



直後、腹に激痛が!

しかし無情にもバスは出発してしまった。

ちんたらちんたらバスは札幌市内を浮遊する。
その度客が乗ってきて結局満車。

数秒おきに訪れる腹の痛みで、
勿論Youtubeどころではない。

スーツケースをバスのトランクに預けているので、
気軽に降りることもできない。

バスは高速に上がり物理的にも降りれなくなった。
残り40分、さぁどうする、
ウノシュージ。

最悪の状況が脳裏をかすめる。
生きてきた50年で最も恥ずかしい状況を。

自己暗示で「オレは腹なんか痛くない」とか、
「このピンチを乗り越えたら相当な自信になるぞ」とかも無力。

地獄の様な時間を過ごしながらも、
精神の緊張が切れたら終わりと己を鼓舞する。

そんな逆境の中、
昔読んだのであろう胡散臭い本に書かれた一節が頭をかすめた。

「138億年前起こったビックバンで宇宙ができた。
その時、後に起こる全ての事象はすでに決まった。
だからあなたの目の前の出来事は全て必然だ」

今の腹の状態も、
出るか出ないかも、
138億年前に決定済ということだ。

ジタバタしても始まらん。
そう思った瞬間、
すーっと、痛みが治まった(マジか)。

バスは高速を降り空港に到着。
待ってましたとバスを飛び出し、
自力でスーツケースを取り空港トイレに。

セーフ!!!
僕は事なきを得た。
この戦いに勝ったのだ。

ありがとう、運命。
ありがとう、ビックバンからの必然説。

決死の戦いをくぐり抜けた、
昨日の朝の話でした。

以上、
ウノシュージ
https://unoshuji.com